ブルー・ハーツ
千月 話子

深呼吸の意味を教えて下さい
と、遥か空に問うのです。



朝鳥が木々を揺らして
飛び立つ足元から 追いかけてくる
化学物質を溶かし空 空間を
切り裂き 切り裂き飛んで行く



大都市の空が薄茶に包まれるのを
川越して こちら側から見ている私の
上空は広い 青で
辺りを囲む草木など
せいぜい2・3階までを守る術



見渡せば、所々に工場の煙突
白煙がゆる ゆるゆると
空高く溶けて行くのです。



花を見たい 私
雲に触れたい 私
何処に行けばいいのか
もう、判らなくて
逃げ場の無い夏 と名付けた
季節がもうそこまで来ています。



空気清浄機が外の空気を汚して
室外機が熱い空気で空に穴を開ける
車はいつまで黒い息をするのだろう
紫煙が清潔なCMで隠されてゆくよ



窓を開け放って 窓を
開け 放 っ て
通り過ぎる風鈴の音が
せめてもの 慰め



鳥が歌う 虫が鳴く
花が回る 魚が流れ行く



かの国の大地が揺れて かの国の上下が死んで
 私達は 罪人と呼ばれ
地球は生きるもの全てが 生きる星で
 人は上級の悪人と成り果てて・・・



いつか 荒れ果てた地に
朗らかな向日葵の花が咲いたとしても
嬉しいのか、悲しいのか
判らないまま泣くのでしょうか



そして、あの忘れがたき
チェルノブイリの空を想うのです。





自由詩 ブルー・ハーツ Copyright 千月 話子 2005-06-08 23:46:33縦
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