柔らかい殻
Monk


生ぬるい屋根裏にあがると何かのぬけ殻がそこにある。
僕が入れそうなくらいにそれは大きい。
「入ってもかまわんのだよ」とぬけ殻は言う。
僕は少し考える。
やはりそれは間違ったことだ、と思い遠慮しておく。
ぬけ殻は徐々に縮みはじめ、その破かれた箇所が
薄ら笑いのように歪んでゆく。
僕はそのまま屋根裏をあとにする。
背後で声がする。
「お前は常に自分が正しいと思っているのか」
同時に生ぬるい空気が背中をぐいと押す。


未詩・独白 柔らかい殻 Copyright Monk 2005-06-06 00:14:13
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