視聴者は今
吉岡孝次

さて、世界の存立構造についても
恋のかがやきについても消息を尋ねなくなった不惑の手前
まだ父母になついていた時分のテレビに流れていた
スポンサーの懐具合がにじむテロップに感じていた寂寥を
暇な折々、自分なりに仕上げてしまおうか。
僕は今ではさみしくない一人の蔵書家だ。
あの頃のほうがずっと怖いくらいにさみしかった。

きっとあの頃に もういろんなことは決まっていたんだ。
僕等の人生は十代の残像


自由詩 視聴者は今 Copyright 吉岡孝次 2005-06-05 08:52:28
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