エクソダス
マッドビースト


 夜の海原に跳ねる魚
 鳥になりたがる
 苦悶するように体をくねらせて過ごす日々から
 羽ばたけ
 
 魚は弱いものほどたくさんの卵を産む
 弱い種である自分の子達の多くが生きられないと知っているからだ
 ときどき思う
 海は魚達の涙でできているのではないかと
 だとしたらなんて切ないことだろう
 魚達は涙を流したあとでさえも
 悲しいことを忘れられないではないか

 魚に瞼はない
 
 目をそらすことができないようにだ
 涙を流しつづけるようにだ

 月の巨大な影が歪に写るだけの海原
 今は誰もみていない
 いまのうちだ
 苦悶するように体をくねらせて過ごす日々から
 羽ばたけ 


未詩・独白 エクソダス Copyright マッドビースト 2005-06-04 21:35:18
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