すまぬ
洗貝新


師走がすまぬという

みんな居なくなってすまぬという

 やさしい言葉をかけるのを躊躇う
 やさしい言葉が渦を巻いて襲ってくるのを躊躇う 
 助手席に乗せては苛々が募り
 飽きもせず無駄使いをしては金を無心した

看取ってやれなかったすまぬ

赤ん坊になってやれなかったすまぬ

すまぬ大晦日がやってきて

ひとりだけですまぬという




自由詩 すまぬ Copyright 洗貝新 2025-12-09 23:44:31
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