彼は上ばかり見て
ヤギ
山道を登るときには足元を見るものだが
彼は上ばかり見て
其処にのたうつ木の根があるかも知れず
泥濘
(
ぬかるみ
)
があるかも知れず
急勾配かも知れぬのに
彼は上ばかり見て
まだ立っているという保証はなく
倒れたまま足だけ動かしているのかも知れぬのに
彼は
顔を持ち上げ
首を伸ばし
あの眩しい木漏れ日に目を細め
彼は上ばかり 見て
彼は
自由詩
彼は上ばかり見て
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ヤギ
2005-06-01 10:02:11
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