カスレ木
ヤギ

夢置いて暮れる中空声カラス 阿呆阿呆となくは誰が為


走り去る回送電車に見し人と命を賭して擦れたがいしや


記憶せしその名霞みて迷い道 あるべき日々に眼を凝らすのみ


取り返す結晶水にすくわれよ 色無き心白色はくしょくたるか


手を添えて溶岩流より生じたるこの崖溶けよと祈るならまた


木皮もくひ食い雨滴うてき飲み込み我を呼べ 亡骸まとう歯弱き猿と


息奪い鼓膜痺らす風圧に薙ぎ裂かれつつ咲く花よ咲け



短歌 カスレ木 Copyright ヤギ 2005-05-26 02:26:07
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