ルシファー
りつ
あなたはただいちばんに愛されたかっただけ
それがかなわなかったから
哀しくて哀しくて、堕ちてしまった
ルシファーは
天使の中で、誰よりも美しく有能で
“神”の一番の側近だった
それがとても誇らしく、自分以上に“神”に近しい存在はいないと自惚れていた。
人間が生まれるまでは。
“神”は人間に夢中になった
あるとき“神”は告げた
「御前たち天使は、人間に仕え、人間に傅くのだ!」
他の天使たちは、お告げに従った
だけどルシファーは納得いかなかった
ルシファーは“神”に言う
「神よ!神よ!何故私たちが私たちより劣っている人間に仕えねばならないのですか?」
“神”は告げる
「私は最初から御前たち天使を、人間に仕える存在として創ったのだ」
「では私たち…私はあなたに愛されてなかったと言うのですか?」
「無論、御前たちをも愛しておる。
だが一番に愛するのは人間だ」
ルシファーは哭きながら跪き、“神”に懇願した
「おお!神よ!神よ!我が主よ!どうか私をこそ一番に愛して下さい!」
“神”は告げた
「ならぬ。御前は人間に仕えよ」
有無を言わさぬ拒絶だった
ルシファーは絶望と狂気に美しい眼を血走らせながら、“神”から後ずさった。
「神よ!私より人間を愛することを後悔するがいい!
私はあなたが一番に愛する人間どもを誘惑し、邪悪な存在へと堕落させる者になりましょう!」
ルシファーはそう叫び、
身を翻し堕ちて行った。
黒く変わった哀しい翼で