They call it Love
塔野夏子
君はそれを愛であると信じたかった
僕はそれが愛でないことを知っていた
それが愛であると
嘘でも君に云うことができれば
君は幸せになったんだろうか
だがその幻想を信じる君を
見たくはなかった
そしていずれその幻想も醒めただろう
さりとて代わりに
これが愛だと指し示せるものを
僕は持ってはいないのだった
かくして君と僕は
それぞれ逆方向から愛に憧れながら
愛を語る数多の
谺
(
こだま
)
の中を すれ違ってゆく
自由詩
They call it Love
Copyright
塔野夏子
2024-11-23 10:03:15