白の彼方へ・・・
栗栖真理亜
僕は雪にくちづけをした
白い白い大地に降り積もる雪は
僕のキスで
紅く
紅く
染まる
君は知っているのだろうか?
ココロに秘めた想い
君への郷愁
僕は寒さに震え
冷たさに憂いながら
柔らかな雪の感触に包まれている
あぁ、君の詩が純粋な繭のような空に
浮かんでは消えてゆく
追いかけても
追いかけても
指の先にさえ触れる事も出来ず
やがて足を止め
透き通った詩に聞耳を立てている
涙の粒を雪の結晶に変えながら
君の声を捜すけれど
まるで幻のように浮かんでは消えてしまうんだ
僕はそのたびに失ったモノの哀しみに暮れ
微かな君の吐息を胸深くに押し込めるけれど
純白の闇が僕を時の彼方へと運び去ってゆく
もしも僕が夢のなかで君にくちづけたら
君は空駆ける鳥となって
僕のもとから翔び去ってしまうのだろうか
ねぇ、その前にもう一度
君の詩を聴かせて
僕は君の清らかなる歌声を胸の奥深くに抱いて
静かに白い闇の中へと埋もれよう