立冬
山人

無意識に吸い込んだ息が吐き出されるとき
秋は深まっている、と感じる
淡々と掃除をくり返し、残った塵をさらいこむように
物語は終焉へと向かいはじめる

夢は廃田の草のように思いついたように揺れ
朽ち果てた二級国道のドライブインのように
思い出だけがうなだれている

あらゆる物たちが廃れていく中で
血液だけがいたるところに充満し
意志を持った生き物のように動き走り回る

     *

立冬の岬へ行ってみる
名もない船が私を待っている
そこにクルーは誰も居ない



自由詩 立冬 Copyright 山人 2024-11-13 07:08:34縦
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