時の止まった場所
りつ
その場所は
晩秋でかなり寒かったのだが
蚊がブンブンと勢い良く飛び回り
木槿が満開で
秋桜も乱れ咲いていた
ロストワールドに紛れ込んだみたい
その不思議な空間で流星を見た
夜空は星で明るくて
街頭が無ければ
こんなに星が暖かい
一晩中
オリオンが
天空を東から西へ
ゆっくり動くのを観ていた
時の止まった場所で
ひとだけが老いてゆく
見果てぬ夢をみながら
からだだけが年を取る
夜明けとともに
私の時間は動き出し
失われた世界から帰還した
昇ったばかりの太陽のひかりが目映かった