ミナト 螢

ストローに残る
赤い口紅を見て
恋だと思った

消え方を知らない
炎のように燃えて
傷跡みたいな印を
痛々しく刻むから
扉を閉めたんだ

心のいちばん深い場所で
息をしていると
苦しくて空へ届かない
夢があることに気が付いた

ひとりでいるのに
ふたりで歩きたくなる
落ち葉の季節の中に
そっと隠した気持ちを

誰かに踏まれる前に
自分で拾って
コートのポケットにしまった

手のひらが温かい
愛しさと切なさを
同時に抱えた
恋の燃え殻を集めて
私は紅を差す


自由詩Copyright ミナト 螢 2024-10-23 11:09:31
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