「 わたしは振り子。 」
PULL.





駅の階段を駆け下りていたら、膝が抜けた。

だらしなく、だらりと揺れる。
わたしの膝は、わたしの振り子。

心惹かれ、心揺れる。
わたしの心は、わたしの振り子。

額に穴を穿てば、
小鳥が飛び出し、
「ふーこふーこ。」と鳴くだろう。

階段を泳ぐ魚たち、
わたしを笑っている。

わたしを揺らすこの引力は、
わたしの罪を赦してくれるだろうか?。

わたしを揺らすこの引力に、
わたしは身をゆだねても赦されるだろうか?。

わたしを揺らすこの引力は、
わたしを待っていてくれるだろうか?。

ゆれる。
揺れる。
心揺れる。

わたしは振り子。
罪を犯し、心揺れる。
わたしは振り子。

優柔不断な、
わたしは振り子。







そして、階段は引き潮に洗われる。



自由詩 「 わたしは振り子。 」 Copyright PULL. 2005-05-23 15:45:59
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