白描
ひだかたけし
街灯の
光に舞い散る雪、
愛娘が
膝枕に安らか眠り、
崩れ落ちてゆく時が
大河の流れ一瞬だけ裂き
静まる冷たき沈黙の襲来、
自らの予感の内に
先取りされた
あの瞬間の覚悟、
今この時に 鼓動打つ
ひとつ ひとつ ひとつ
意識の遡上で切断された
あの静穏と崩落の落差、
残響は三度夢枕を脅かし
街灯の光に渦巻く
無数の 雪、雪、雪、
深い諦念の内 、
ひとつ、ひとつ、ひとつ、
自らの未知を切り開き
普き光へ向かい過ごす
この静謐な孤独の日々に、
あの愛娘の安らかな寝顔、
担う腿の肉に温もる
この熱だけは保ち持ち