深夜
秋葉竹




少女がシンデレラに憧れるのは
深夜、日本家屋の階段で。

とてもちいさな階段には
昼間の寂しさがころがる音がするから

ガラスの靴をひろえなかった少女は
夢の中へいってみたいと憧れる。

部屋の壁にヘタクソな自画像を描いた日
両親にとんでもなく怒られた

けれど月光の射すその部屋には今も
その自画像が消されずに残っていて

その瞳はキラキラと光っていて
憧れは叶うという夢を信じている今も。

深夜眠れない少女は階段に座り込み
シンデレラ、シンデレラ、と

沈む夕日の色の瞳を閉じて呟いている
乾いた闇と虹色の夢が交差する

ちいさな階段は切り取られた静けさで
少女をくるみこみ、抱きしめてくれている。










自由詩 深夜 Copyright 秋葉竹 2024-09-27 08:25:49
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