Reason
リリー


 霧が匂う
 隠された風景の先を見ている
 霧はたえず
 その気配でただようしかなく
 歩み出れば崖っぷちに咲く野の花の細い茎を
 つかむような愛ならば

 もはや私に 
 緑なきものと知りながら
 信仰の果てに行きついた老人の様に
 このままの姿をくずさない

 唯一人 自分を愛そうと願いながら
 この夜は
 私の小さな、
 しかし固さを嘆いている

 


自由詩 Reason Copyright リリー 2024-09-20 05:45:12
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