革命なんか笑い飛ばすんだよ、実際の話
ホロウ・シカエルボク
現代そのものを浴びるほど飲んで酩酊し続けている、根幹の抜け落ちた人間どもが俺を不愉快にする、そこで生きざるを得ない以上仕方のないことだとはわかっちゃいるけれど釈然としないよね、ぶっちゃけた話、なんでこんなのと関わらないといけないんだって思いながら馬鹿のモノマネしてるよ、詩を書いてネットに置くこともタダじゃないからね、まったく時々ウンザリしてくるよ、同じ光景を繰り返し見せられてるような気分になる、代り映えのしない言葉、代り映えのしない行動、反吐が出るね、まったく反吐が出る、役割を果たしているというだけで満足出来る人間がこの世にはいっぱい居るのさ、信じられないことだけどね、俺みたいな人間の方がマイノリティなんだ、この世の中じゃ―狂った夏、連日三十度越えの…こんな夏は二十年くらい前にも一度あった、俺はその時も外で働いてた、まあ、社会的に俺が出来ることなんて限られてるからね、どうしてもそういう仕事になるわけさ、もちろん、頑張ればもう少しくらいはマシなことも出来るかもしれないけれど、金の為に大事な時間をどぶに捨てるなんて凄く馬鹿げているじゃないか?でも多くのやつらはそんなこと疑問にも思わないみたいだけどね、きっと、彼らには大事なものなんて何も無いんだろう、真剣に生きている人間を恥ずかしいと思う風潮なんて今に始まったことじゃない、大人や人生っていう概念自体がここじゃ歪められたまま定着している、見るも無残な鵜呑み受け売り、知ったかぶりのオンパレードさ、内容なんてほとんど同じなんだ、自分の口で喋れば自分の意見だとでも思っているんだろう、驚いたことに彼らはやっぱりそれをまったく疑問に感じないらしいんだ、口にしながら、(あ、これどっかで聞いたことあるな)とか、思わないのかね?まあ思ってないから堂々と口にしているんだろうね、どうなんだろう、俺にはそっちのほうがよっぽど恥ずかしいことのように思えるんだけど…人間だって動物には違いない、風習や習慣、習性からは逃れられないのが普通なのかもしれない、俺の方がおかしいって言われることが多いけれど、それは俺が彼らと違うっていうだけのことなのさ、その違いは結構真面目に考えてみるべきだと思うけどね、到底伝わるようなことじゃないから言ってもしょうがないんだよな、自分のメンツを守るために、自分のフィールドを出ようとはしないんだ、ずっと同じパターンが続くだけのヴィデオ・ゲームみたいなもんだ、そんなゲームはすぐに飽きてしまうさ、飽きてしまうのが普通なんだ、当然あるべきかたちを捻じ曲げることでしか維持出来ないものが社会だというのなら、そんなもの壊してしまうべきだと思わないか、でもそんなことこの国じゃ起こりっこないね、どうでもいいお題目でデモ行進するぐらいが大衆性には関の山、やったって事実だけで満足して何が変わろうが変わるまいが構いやしない、なあ、あれほどいろんなことで大勢で練り歩いていた連中はいったいどこへ行ってしまったんだ?まったくお笑い草だよ、世界は何ひとつ変わってはいないというのにね、そもそも、世界を、国を、社会を変えるってどういうことなんだ?それはひとりの人間の働きかけで変えられるものなのか?過去に変えた歴史があるか?確かめるまでもないよな、革命家気取りでシステムに喧嘩を吹っ掛けた人間たちは何かを変えたのか?時代が証明している、どれだけ沢山の血が流れたって、世界は変わることがないのさ、惚け老人さながらの思考停止した連中の目を覚まさないことには、結局同じところへもどってしまうんだ、どれだけ影響力のある人間が数に訴えて仮に新世界へのムーブが始まったとしても、数年後には無かったことになってしまう、当り前のことだよ、「みんなで変えて行こう」それが連中の基本概念だろ、ターゲットの定め方がそもそも間違っているんだ、ひとりの人間に話すつもりでやらなくちゃいけないのさ、ひとりの人間の心を変えるつもりでやらなくちゃ、誰かひとりでいい、そいつの目が見えるように導いてやればいいんだ、あらゆる集まりの最小単位は人なのだから、人間ひとりひとりが自分自身を、その周辺を考えるようにならない限りどんな小さな世界だって変えることは出来ないのさ、システムの枠内で手を尽くしても意味はない、それは外側から働きかけなければならないんだ、彼らの脳に仕込まれたリミッターを外して、解放してやらない限り不可能な話なのさ、そもそもそれは可能なことなのかって?知らないよ、わからないとしか言いようがない、だって俺は俺でしかないからね、誰が何を考えていようが知ったこっちゃないし知る術も無い、たださ、もしもある種のコミュニテイの概念を崩すとしたら、そういうやり方しかないだろうって話なのさ、考えてもごらんよ、時代を変えるのは戦争じゃない、たったひとりの人間の知識や経験なんだ、俺は変り者で結構、ソコラヘンの連中と同じ顔をして歩くくらい恥ずかしいことは無いからね、俺にとっちゃ。