第八ウロボロス
医ヰ嶋蠱毒

窒息から逃れたいのなら
おまえの起源を追う為だけに
寧ろより深く潜行してみよ
濡れた雛型を金属の鞄に格納し
霊魂だけを標本に仕立てる職責をわたしは背負う
遥かな帰途へ篝火を焚く周到さこそが
航行し続ける播種船の動機だ
軈て無辺に貪られる必定を託つ飢饉の最中
眷属を喰らい終えた代償に蜷局を拝受する
目を醒ましたとき
おまえは少女に留まることを択んだ
階梯を無造作に連ね涅槃に至る
それは死の普遍性を必要条件としていない
母胎を模した水槽に掌紋を遺せ
炎症した躊躇い疵がまるで外鰓のようではないか
七人分の過失を灼き棄てるのは大脳を摘出してからでいい
剛健な漕ぎ手達は尾を噛む蟒蛇を観想し
その舳先にて指揮刀を振るうわたしは
おまえの起源を追う為だけにいま泪を流している


自由詩 第八ウロボロス Copyright 医ヰ嶋蠱毒 2024-09-12 17:19:56
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