嫌が存りました
幽霊
わたし、もぐら。わたしはモグラ。私は土竜だ。私は土竜に違いない。私は土竜と呼ばれなければならない。私は私が土竜であることを否定できない。私は私が土竜であると自認しないわけにはいかない。私は私が土竜であることをすっかりとことん徹底的に承服しなければならない。もぐらのわたし。
土竜が、地中の穴から白昼の下に引き摺り出され、あわてふためき、半狂乱、宛てもなく取り付く島もなく、出鱈目にちょろちょろと走り回っていた。その、哀れ。それは私だ。もぐらのわたし。
場違い。失礼しました。ごめんなさい。
本来、私の持ち場、地中の闇で違い無い。
わたしがもぐら。もぐらがわたし。
あなたが人間。