かくれんぼ
凪目
君がじんせい、と言うときの口の形を、僕は信用しない
じんせい、と口にしなければならない、
その悲痛を信じる
じんせいの中に
君がいた試しはない
その音の中に大切なものを閉じこめようとするとき、外に放り出されているもの
僕はそれに会おうとする
それはいつも外にいる
外は広くて寒い
平気だ
見つけられる
挨拶をする
月
その遠さ
波の寄せる深い崖について話す
砂漠
羊歯
菌糸の囁きについて問う
耳を傾けるとき、長く伸びてくる指
血管の奥に柔らかく触れて、くすぐったい
くすぐったくて
しゃぼんのようにはじけ
粉微塵に
がらくたになっても
いつまでもそこにいられる
夢には底がないから
君が泣くとき
笑っている
君がじんせい、
という形を作ろうとするとき
僕はそこにいる
そこにいて、形のない影の中に、君を見つけられる