パラダイムパラダイス
塔野夏子
パラダイムが壊れてゆく
零れてゆく
もうそんなに時間は残っていない
砂時計の砂の中に
どうやってか紛れ込んだ星屑が
時折 きらりと光るのに
何度 気づいてきただろう
何度 気づいてゆけるだろう
けれど僕の記憶が
君の予感に影を落としてしまう前に
此処を立ち去らねばならないだろう
せめて静かに微笑んで
パラダイスが壊れてゆく
零れてゆく
君の砂時計の砂に
どうかたくさんの星屑が
ひそんでいますように
パラダイムロスト
パラダイスロスト
もうそんなに残っていない時間の中で
僕の憂愁と君の憧憬が
かすかに互いを反射する