しずかなふちどり/夏
唐草フウ

すれちがいはさみしいね
通り雨は
違う場所に降っている
うそはもっとさみしいね

蛍は水しかのまなくて
手のひらですぐいきたえる
でもわたしはそんな儚い
あなたになれず羽を噤む蝉だ

暑夏、この夜の果実を滑らかに落ちたい
しずかな藍が明けるまで
手を重ねるだけでいい

麦茶が汗をかいている 
板間に投げ出した裸足のさき
あいたいと思い巡らせ膝を立てた








自由詩 しずかなふちどり/夏 Copyright 唐草フウ 2024-07-29 01:18:56
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