サマーノート
そらの珊瑚

空に舞う麦わら帽子目で追った時のはざまで行方は知れず

海からの帰り道はいつだってしぼんでるのにからだは重い

アスファルトに立つ陽炎は死んだら負けといってるみたい

蝉たちがぴたりなきやむ刻が来る日陰をえらび蝶は生き延び

かげろうの先で手まねくものがたり砂漠の白昼夢にも似て

なつやすみ遠くへ行った気になってまわりまわって陽炎の中

つなぐ手と手に汗にじむふたりしか知ることのない夏の水にて

傷つけられたことだけを覚えてるキョウチクトウのはな赤赤し

嫌われたっていいじゃん、そそりたつ入道雲の真白き姿

足りない足りるやっぱり足りない墓石の水すぐに乾いて






短歌 サマーノート Copyright そらの珊瑚 2024-07-23 12:32:40縦
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