私たちは食べてきた
atsuchan69

地平線の彼方まで丸焼けだった
瓦礫と錆びたトタンで作った
家族でさえ疑って暮らすバラックで
卓袱台に載った、芋粥と悲しみ

ヤンキーにたかってチョコをせしめた
空地で捕まえた飛蝗を炙って食べたり
蜂の子やドブ川で釣った魚も食べた
ズボンの腰には、磁石の紐が垂れていた

神社では真鍮の金具を剥がし、
バケツ一杯の鉄屑を売ってカネにした
姉ちゃんは夜、化粧をして出かけた

たとえどんな罪を犯してでも
生き残るために 私たちは食べてきた
誰もが皆、空腹で殺気立っていた







自由詩 私たちは食べてきた Copyright atsuchan69 2024-07-21 10:44:43縦
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