完備 ver.2

夜の窓辺 畳の上にひろがる
うすあおい布のような光りを
手のひらで受け
撫でて 六月の風はさわれた

ひとりの夜が普通だったころ
ひと粒ひと粒の波をむすんで ほどいて
千切って 噛んで 除湿機のふるえに共鳴する
記憶を手繰り寄せた

こんな夜だったね
やさしい病に冒された両目が
十年あればうしなう光りの

いくつもの顔に重なる雨、
愛しかないセックスは悲しい だから泣いた
だから泣いた 夜 窓を開けたまま


自由詩Copyright 完備 ver.2 2024-07-20 02:25:25
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