顎の下に揃う8枚の爪、夜に浮かぶ
田井英祐
金環月食は頸に金色の輪を作る
暗闇に浮かぶ白い歯列は音を立てて笑う
束ねられた髪の彫像が風に靡き
谷底に落ちたハーモニカが鈍い音を奏でる
君の撫子色の山脈のような尻が
彼の腰に火をつけ炎は大きく牙を剥く
腰の先端には薔薇が咲き
体は湾曲して震える
彼は君の黒髪を掻き分け
露わになった肩に歯列の跡を残す
彼は君の首に指輪を作る
8枚の爪が君の顎の下で薄桃色に輝く
深夜に君は生死のあわいを行き来する
自由詩
顎の下に揃う8枚の爪、夜に浮かぶ
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田井英祐
2024-07-14 18:03:38
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