田井英祐

あなたがアパートに帰ってきた
雨が降る部屋の中で回転台に載った肉塊が回っている
身体を売ったあなたは、今日身体を売ったぶんと同じぶんの肉を肉塊から切り出し齧る
「食うために売り、売るために食い、そうすると、生きているとは、どういう意味になるの?」
そう理屈を言う、あなたの口から心臓にかけてが射精されたように熱い
ベットは娼婦の瞼だ、瞼があわさったあと、もう太陽は登らない、瞼の裏に永遠が形作られると、娼婦は眠りにつく
あなたが眠ると雨が降る
夜の結び目はほどけて、
あなたから君に意図をとおす
酔っ払いたちはあなたたちのことをグラスよりも傾けて話してしまう
金色の糜爛に金平糖が湧くと
君は水を飲むしかなくなる



自由詩Copyright 田井英祐 2024-07-11 12:50:13
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