LESSON 1(改稿版)
涙(ルイ)


なんだか妙にザワザワ落ち着かなくて
目覚めてしまった午前1時
喉がカラカラに渇いてたから フラフラ立ち上がって
冷蔵庫を開けて 麦茶を一杯飲んで
昨日投稿した詩に誰か反応してくれてるかチェックしてみたり
急に連絡の途絶えた友人に
ただその理由だけでも教えてほしいとメールを送ってみたものの
返信は来てはいなくて ションボリ




あたし自身が一番ひとに興味がないくせに
ひとには興味もってもらいたいとか
ちょっと都合が良すぎるってもんだよね
あたしのことなんか 誰も好きになるわけなんかないよ
自分の親にさえ 死んで産まれてくれればよかったって
思われていたんだから
わかっていたことじゃないか
いまさら 動揺するなんておかしいよ
笑っちゃう




だけど こんなあたしでもさ
勇気を出して声を掛けてみたら
拒絶しないでくれたものだからさ
柄にもなく嬉しくって 嬉しくって
つい 浮足立ってしまったんだ
ずっとだなんて そんなことは思ってやしないよ
ただ 一緒にいるときは楽しくいたいと思ってた
お互いにバカな話をして 笑い合っていたかった
ねえ あたしあなたに何かひどいことしたのかな?
そんなにイヤだった? あたしといるのが
あたしなら簡単に切っても構わないと思ったの?
あなたはそんなハサミを 常に持ち歩いていたんだね
面倒くさくなったら ちょん切ればいいって
あ でももし あたしがあなたにひどいことしてたっていうなら
それは謝ります ごめんなさい




思えば いつもそんな役割ばっかりだった
昨日まであんなに仲良くしていたのに
今日にはもう知らぬ顏
こっちは友と思っているから
向こうからやってくる友に おはようって云いかけたら
あたしを素通りして 違う娘のところへ駈け寄っていった
教室に入ってきて その友はあたしに
あ いたんだ?っだって ワザとらしい
3人で遊べば 必ずひとりになるのはあたしだったし




家にもどこにも居場所がなくて
詩を描くようになって
そこだけが唯一の居場所だった




詩の中では何でも云えたし
詩はいつでも あたしの話をちゃんと聞いてくれた




産まれ堕ちた瞬間から ずっとひとりだった
誰もあたしを見てくれる人間はいなかった
ごはんが口の中にあってしゃべれないのに
返事をしないと云っては殴られた
母親は自分だけさっさと安全な場所に逃げて
だから 子どもがどんなひどい目に遭ってても
仕方がない 我慢しろ というばっかり




よく子どもの頃にひどい目に遭ったとしても
大人になれば なんとかして苦悩から乗り越えて
強く生きていけると そう思い込んでいるひとがいるが
それは大きな間違い
だってひどい目に遭ったって気づくのは大人になってからだから
子どもの頃に感じた なんだかよくわからない疎外感
なんであんなこと云われなきゃいけなかったのか
なんであんなに殴る蹴るの暴行を受けなければならなかったのか
そういうの気づくの 大人になってからだから
大人の方がむしろ生き苦しいしツライししんどいし
泣き言だって弱音だって本当は吐きたいのに
でももう大人なんだから 大人なんだからって
だから仕方なしに 平気なふりを装って生きてるだけ
そんな簡単に 強くなんか生きられないんだよ
うまく生きてく方法なんか知らないし
もしそういう生き方が出来てるひとがいるなら
その方法を こっちが教えてもらいたいくらいなんだよ




きっと楽しいことだってあったはずなのに
思い出すのはいつだって ひどい目に遭わされた出来事ばかり
きっと記憶のどこかには残っていると思うんだけど
もう忘れてしまったということなのか
ツライ記憶で上書き保存してしまったということなのか



忘れてしまったのなら仕方がない
消されたものをあぶりだすことなんて不可能だ



もう遠い遠い過去の出来事のはずが
もう終わったこと 済んだ出来事のはずが
いつまで経っても あたしを自由にしてくれない
凶器を振りかざしては 襲い掛かってくる
いっそ終わりにしてしまいたいと思う夜が
幾度も幾度もやってきては
あたしにささやきかける
「楽になっていいんだぜ」



イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだそんなの
ただ泣いて生きてくのなんて
ただじっと耐えて生きてくのなんて
我慢して我慢して我慢して
云いたいことも云えずに生きてくのなんて




忘れてしまったものはもう仕方がない
きっと大した記憶じゃなかったんだ
そうだそうだ
きっとそうに違いない




こんなあたしにだって 忘れたくない出来事くらいある
はじめて中島みゆきの夜会を観に行った日のこと
あまりに感動して 帰りの電車でもずっと号泣してた
はじめてみゆきのコンサートに行った日のこと
何十年ぶりかで歌うという「世情」を生で聴けたこと
はじめてエレカシのライブに行ったこと
背伸びしないとなかなか見えなかったけど
それでもエレカシはミヤジは めっちゃカッコよかった
何度目かのライブでは ミヤジが歌唱中に感極まって泣いちゃって
なんだかこっちまでギュってなった
ディズニーシーにも行ったね
タワーオブテラー 超怖かったね
ムーミンバレーパークにも行った
ムーミンやリトルミィたちがめっちゃかわいかった
ムーミンパパが実は結構ヤバい奴だってわかって
二人でゲラゲラ笑ったよね
中島みゆき展すごくよかったし
リクエストできたり メッセージ描いて貼っておけたり
もしかしたらみゆきが読んでくれるかも?
読んでくれたら 最高に嬉しいな






LESSON 1
さあ はじめましょう
今日という日は
あたしたちが生きていくための
大切な道しるべです






どこからだって どんなところからだって
いつだってここから 始められる





始めていける







自由詩 LESSON 1(改稿版) Copyright 涙(ルイ) 2024-06-26 12:47:48
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