ナイショ
atsuchan69

土留色のナイショが蠢いている
秘めごとを沢山食べて大きくなった
巨大な海鼠にも似たナイショが床を這う
ナイショの匂いは潮風のようだった

こんなに丸々と育ってしまったら
きっといつかバレてしまうに違いない
それでも秘めごとは家中にあって
まだまだ箪笥や書棚にも隠してあった

スマホの着信をナイショに与えた
女からのと、昨日知り合った娘からのと
昔の女からのと、若い男からのと

夜遅くナイショを連れて家を出た
助手席で土留色のデブは大人しく眠っていた
海まであと少し、おまえの帰る場所だ











自由詩 ナイショ Copyright atsuchan69 2024-06-16 04:21:30
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