滅紫雲の揺籃
あらい
滅紫雲の揺籃
方法の片を退く背中は痛いのか、痒いのかもわからない。ヒレのとろびが従うばかりに 目頭はあつくあった。またあんまり綺麗で、握りしめて確かに黒。外海を触れる、捉えられる、とはいえ。また妙におずおずと正面に堕ろした。ぴちょん。ちょんと横向きにある、光量は一変する。そして散りばめた浅い小魚の、捕まえていたものもはっきりとはしない みな窶れた手紙が閉じたまま。隙に与え、乳房を含ませるその怪異の、引き返す軌道に射す
ほおを手のひらで支え、その事の起こりを、火照るような彼方なりのヤイバとして、慌ただしく過ぎる背景を少しばかり切り取り配置した。じっと見渡せば。採光、通風、眺望、燦然と近いところで どれもめくりかえしては、剥落する。ねむっているあいだにみた景色だ――雷の鳴る音があべこべに散らばった、透き通るような星星の間を亘るみち、あらかじめ願い求めたあと。忘れな草が輝いていた。目映いほど零れる、この星とあり空となり光と去り月日と在りて、くまなく流れゆく、過去も未来と再生され、また嘘を繕うように記憶の彼方に励まそうとするけれども
伝い歩く手がわけもなく届かぬ 風采の、差出人の記述はないが。その頃とは瑪瑙/琥珀/真珠、いづれ先端で涸れ井戸のかたわらであう。まるでお互いここに純なタマシイが。朴訥に枯れ、というか痂皮も掠れ傷跡ひとつ残らない。大勢がひろく見合わせるそこで倒れたい。大変だと口を借り、唇を噛む。結して、進まねばならないとおもわれ、はなしておくこと
おもに普通と異なった様子。そればかりは熱もなく、終る。過ぎ去った時 かたくなる。ちいさな家 しげみ ちから強く。オオルリの羽音はどこか。またくっつきやすいものを、かたちづくる。新しい/そのてをとって/撫でるばかりの爪痕が、くもなく、かえってはとおく あっちへゆき/つみあがる。もともとはガラクタの化章
これが色褪せず距離に適う
わずかにも未来の覚りだ
いちいち。
(尋ね回っては くれないのである)
永く息を噴いている凡庸にささくれ立つ
〈蛭は萎れ 虱は腐る 蟻は錆びたばかりの〉
自由であろう 賭して つぶやく
道をつけるように踏んづけていく翠雨。昨日は泣いた、今日は笑った。すこし顔をのぞかせる白い花が開け放す向こう側から、どどと みちみちてできるだけの、ちょいと射すから。耳触りのいいその声が、好きだと思った
自惚れを切り離したムにかえり、そこに小石という成れの果てを飾りつける。愛称は踊り子をしています。それだけ 視線を投げて創られる 生々しさ、選ぶばかりと発露し、弱く眩しい乏しさもやわらかくある栄華と 違いないと明らかに並び立てる。まばらに緩め排泄と数を合わせ、それが であって 最もうすく多くはしる、みずぎわで、明日はすべてで。どうか赤茶けるいいゆめを。沈んだ泡を言葉にする
ただ海底に放牧された明星がゆれながら、咲きひらく。と、きいたことがあります。死胎になり損なう鬨の声をはじく。きれいなたしなみが誠に、ほがらかなきれはしでくりぬく、と、ひとつまみ。合鍵と粘土で退屈にピントを合わせる、よほどひそひそ放つということは、むちゃくちゃな役目で
そして得られたことによると、満員列車の表情をうつした。目ではみえない濃淡のそれを追って、どれもまたとない鈍色。じんわりと浸透する、ひとで或る空を仰ぐ。寄せ集めの暁が息苦しさの干潟へ。ゆっくりでいいから手を引いて、さびしさが栄えてから周囲のものと紛れていく/どのみちも/月出ていて/複雑で翳りあい。あくどい色
待ちくたびれる朝な夕な、青い花火が仰け反るだけ。あかのたにんの谺である 名前は、ふっつり握手する。測り兼ねる刹那に追いやられる条件は花瓶に汲み込む。もう彼は誰と抱え、反対に敷地のうちに、並外れてまとまりもなく大きくとんとんな様
ちろちろと明かりをつける。灰桜の鶏鳴が、睫毛がゆっくりと下を向いた 空気は冷ややかな形でぬるまゆを保ち。きっと仕方の無いことなのだと。観察する刺激によって伏し、残り火は消えるものと合掌する、永遠に対する無明が、現象すでに夢幻逆巻くのだと。まばたきひとつで手元に残る、苹果の魔法。憧れながら――透明人間としらない、花。ならこれら樹木の断面にうまれもつカラクリに、訝しんで伺おうとしていると、見てみろ