海岸線の果てに
ヒロセマコト
太平洋が反射した灰青色の空から
雨は音も立てず降りてくる
寒冷紗のようにふわりと
海を見下ろす緑豊かな岬は
優しい雨に包まれ白く霞む
草を食んでいた岬馬の澄んだ瞳
雷光を映して光り
傍らの子馬を守るように
身を寄せ合い
紫陽花とソテツが繁る小路へと消える
陸の孤島、などと
揶揄されるほどの土地でなければ
野生の馬も
美しい景色も
守れなかったに違いない
色褪せた過去の観光地のままでいい
もう数十年も訪れていない
美しい岬よ
いつまでも
いつまでも
私の記憶のままであれ