ベッドの上で空回りし続ける欲望の足音
虹村 凌

僕が部屋のベッドの上で女の子とキスしていた頃
外では無邪気な子供達が走り回っていた
僕が彼女の部屋のベッドの上でフェラチオをしてもらっていた頃
外では蝉達が有らん限りの声を上げて叫んでいた
僕が彼女の部屋のベッドでセックスをしていた頃
彼女の彼氏は予備校で必死に勉強をしていた

僕が自分の部屋で起き上がった時に聞こえた
渦を巻いて回り続ける欲望の足音が
だんだんと近づいてくる音
どくん どくん どくん どくん

でも 天国へのパスポートを買い忘れてしまったから
濡れて光るあの入り口へは入る事が出来なかった

どくん どくん どくん どくん
どくん どくん どくん どくん


どくん

足音が遠ざかるにつれて 目は冴えわたる
立ちこめる煙草の煙の中に見えた誰かの足は
ゆっくりと部屋を出て行くようだ







自由詩 ベッドの上で空回りし続ける欲望の足音 Copyright 虹村 凌 2005-05-19 13:22:42縦
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