うたうたい
秋葉竹



 

今日もまたあなたを傷つけた

寂しさが棒立ちしているバスに乗り

ただ横にいるだけで

やさしいあなたの笑顔を消した

応えられなったあたまが悪いから

じゃなくてこぼれ落ちた言葉が

あまりにも硬い爪のように聴こえたのか

あなたはすこし真顔になって

痛みをこらえていたみたいだった

爪は肌も心も傷つけられるものね

心の持つ

月のカケラみたいな

繊細な輝きにくらべたら

言葉はなんて

不躾で不自由でスカッとしないんだろう

ただ僕にも

あなたにも重い苦しい言葉を引きずって

ふたりはいっしょに暮らしていく

そんなひきつった寂しさを

払拭したくて

僕ひとり

うたをうたってるのだと想う

綺麗な声でうたえたら

言葉の拙さを忘れられるみたいな

夢みたいな

希望みたいな

悲しみみたいな










自由詩 うたうたい Copyright 秋葉竹 2024-04-11 21:20:25
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