抱き治したい
秋葉竹


  

雨の日に
ただ詩を詠めたあのころは
まとわりついてたしあわせ知らずに



目の前で
泣かれたときにできること
すべてをウソとオロオロすること



今日になり
届いたあなたの寂しさが
もう冷たくて 抱き治したい



ゆっくりと
歩いてゆけばいつの日か
ひとの住まない月へゆけるか


生きている
かぎりいつかは散る命
ホンキで怖いと震えた残日



苦しみの
数さえ笑ってしまえたら
ブーゲンビリアをただ抱きしめる


ののはなや
ののくさにある罪のない
みたいなちっちゃな群れが眩しい


君の声
だれよりもよく聴いている
つもりですけど搔き消す波音


もし愛に
性とか涙がないのなら
僕はたまらず君を救うよ



人生に
くだらん勝負がきっとあり
三面六臂の鬼を飼おうか



生きるって
まるで魔法って想わない?
いま抱きしめる君のからだを












短歌 抱き治したい Copyright 秋葉竹 2024-04-09 22:57:01
notebook Home 戻る  過去 未来