影と実体
あらい
彩度の脆い加速度も迷化した域をしらじらしく酸い
手摺りされたエンジェルラダー
薔薇色の秘石箱。滲みてるのか。気韻にあおりつける
境を奥に、背にしても砕く。くものうえ
骸骨も、拝む、光彩 イバラの棘で、足元だけ
微熱の篝火にこれでもひとつ、焚き付けた鍵、覆った
かたちがえ、膣がある。陰茎がある
塗れたぶん滾らせ反射して屑が躍る。碑の穂に中る
きえちまうもの、そのあいだ、埋め尽く不知火
とき、時に。目を閉じて、もうたぶん、うたかた
蛇腹めいたなにか、洒落た空中楼閣の陰にこもっている
鞴に、応アタる、瞠目に渇く
(渺茫)
引き込まれる。 入滅する隠し絵だな
えぐえぐと、品のない水平環に
そんなの。しらじらしいほころび
薄片に色を取る、風をくすぶる、無意味な慈愛だけ
一本の銀杏木、穂を拓けた芒
その汎用性。夕間暮と日常のスリットへむかって
すれ違えるほどの雨漏り、また 青写真
感光するな――影と実体