gastronome 31-40
AB(なかほど)

 
そんなことありえないって言いながら
しゃがんで花火をするローライズの腰から
見えちゃってる果汁100%
 
 
 
東京にもこんなに静かな夜の場所があったの
という思いが油っぽい湯気に捲かれると
たまらず あ と声が漏れた
 
 
 
今度死ぬときゃ 蟻さん
栗の入った羊羹の裏だといいね
こんな軍靴の裏でなく
 
 
 
おもいでは壁の隙間静かに消えた夜
十二時すぎのひときれ静かに肥えた夜
いくら側にいても静かに凍えた夜
 
 
 
一冊の詩集を手にしている君よりよっぽど
今くしゃくしゃになって
鼻をすすりながら蕎麦をすする君のほうが
 
 
 

こたつ こたつ ぽぅ言いながら
マイケルはんがみかん持って来はった
ぽぅ もうそんな季節かいな どおりで
 
 
 
あのときのアイスの行方知らないかい
と振り返ったところでふと
あの夜とは違う君がほっぺを膨らませている
 
 
 
ペーパーレスと言いながら書類の山は
増え続けては増え続け今日も
カップ麺で暖をとる(5時に暖房は切れる)
 
 
 
カレーライス!
って言う声を聞くだけでも
幸せだったよ ありがとう
 
 
 
そんなふうに草汁の染みた祖父の指先が
へび苺を摘み取り幼い男の子に差しだした
そのへび苺の味が思い出せない
大切な場所にインターチェンジが出来たよ
 
 
 
 
 


自由詩 gastronome 31-40 Copyright AB(なかほど) 2023-11-27 20:29:32
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