みづしらずのはな
あらい

    探し続けている。きみは どこの骨か
    お菓子ひとつも もっていない
      (沢山しまった命は永遠ですよ、と。)
  ことあるごとに うようよとした、毛虫は
      迷信が独り歩きする罠に 罹りたいのです

玻璃の砲弾は得意げに浮かぶ、
片隅の摺鉢を破り 抉れた市街を渡り
致死量の水源が笑みを作る
真実の荷は 想い みえないものが母を憂う
果皮の形相は白虎かも わからぬ

   鱗を結わえたものも鵺もまた拵えたものを、
   どっしりと構えたばかりの意図も砂抜きされ、
   焦点は多分ないといってよい

 違いの分類はアラベスクとおぼろ月。

   ふえていく、流れ星の なまなましさの
  萌黄色の夢よ、とけている 沈黙はまた、午睡のうち

にぎりしめて 
ともかく

つるつるとしたたまご が そら さわる と
むくち 腐りかけの我が手には、しらないはな

   水平の背後には絹の引き出し
   貴重面なとおいゆびが流されて来る

    わわわ。

     混沌から是非を、 
     既知から貧相を、

封筒の氏名は識らない早口言葉で申し訳ありませんが

  神格化した沙漠の夜は 
  あいくるしいオパールは
  歌うような翼を蒔く。
  
唸る

   だが早朝迷子になった鶺鴒 
    悄然ショウゼンと
    犇ヒシと
   鋲で打ち付けた表現 
    売り家 
   わずかにはなれたところで
    守宮、
    生け贄にも。 
   うねりあげるこころを

    それで。

行灯。たずねている、
  手紙という 名の 濁った蝶だ
 そのひかり 蛇だ、
まもなく 躊躇う。

かたちとして 蝙蝠が、しのびよる うみのような
そだてあげる 風に応える、ひらひらとするところ

――天窓越しに とりこまれて。
  派手 に 暗い 衛星 が だまって いない
  はっきり と した 雪虫 でも 意に 沿わない
  井戸裏から 欠けて くる。――


自由詩 みづしらずのはな Copyright あらい 2023-11-18 16:42:21
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