ふゆどなり
ねなぎ

言葉なんて
置いて来てしまった

それなりの生活で
それなりの物を食べ
それなりに歩いている

言葉なんて必要が無くて
どこかに失くしてしまった

それなりの地位を得て
それなりに会話して
それなりに働いている

何故
すれ違うのか
それとも
最初から
合って無かったのか

それは言葉とでも
言うのだろうか

僕は
話し合いが必要だと言い
君は
話し合いなど無駄だと言う

僕が昔を懐かしめば
君が今を嘆いていて
僕が先の事を話しても
君は今しか話さない

冬には未だ早く
秋には戻れない
色は失くせど
モノトーンには明る過ぎる

しがみついて
必死になっても
理解は得られず

声がうるさくて
とてもうるさくて

喉を枯らして
音を無くして

とても
疲れてしまって
何だか
疲れてしまって
何もかも
嫌になって

それが言葉だったろうか

僕は泣きたくて
君は笑っていて

そして言葉は必要無かった


自由詩 ふゆどなり Copyright ねなぎ 2023-11-12 16:15:24
notebook Home 戻る