喪失
印あかり
最初からなかったかのように
あったことを忘れるくらい
少しずつなくなってしまった
零れるとも消えゆくとも
表現しがたい喪失よ
愛おしかったのだろうか
それとも
疎んでいただろうか
どちらでもなく
どちらもそうだったような
喪失だけがそこにある
今となってはもう
いつか俺は 遠く 高く
喪失のおかげで 軽くなった体で
風船のように飛んでいこう
いつ終わりが来ても構わない
僅かな怯えさえ空を曇らすほどではなく
突き抜けるような 青い 青い
喪失の向こう側へ
自由詩
喪失
Copyright
印あかり
2023-11-11 22:48:29