幽霊たちの砂浜
atsuchan69
寂れた町の匂いのする
季節外れの席でビールを飲む
砂粒だらけの赤い足で、
板張りの床を踏んでいた
濡れた髪の女の子が
ハンバーガーとポテトを運んだ
台風が去った跡の景色が、
そのままこの砂浜へと
無惨に打ち寄せられていた
白いポリ袋が空を舞った
生きている奴らだけが
きっと波乗りなのだろう
此処にいた連中は、
少なくとも、
まだ大波を待っていた
後のことは知らない
波とともに砕けて、
洗濯機の中みたいに転がるか
それとも波に乗るかだ
俺はどうなんだ?
もうすぐ伝説の大波が来る
青い空と海が輝いていた
いつの間にか夏が戻り、
大勢の濡れた髪の幽霊たちが
勇敢な波乗りへ手を振っている
ビールなんか飲んでる場合か
屋根の落ちたこの店をよく見ろ、
昼間から客は俺ひとりだ