文と句
それがあるため
あたりはふるえ続けていた。そしてあなたは、手縫いのように丁寧に畳んで、爪がまたよごれていた。この、ことばで。あるいは、そのことばで。どのことばも少ない会話のほとんどが詩であるように、あなたはその文字に没頭していた。それからすぐ拳のなかでおしつぶして、りんごやりんご以外の果実に囲まれるような、夕飯には、必ず帰れよ。それは、リボン。でしょう?、だってかじかんだ晩につけられた。透けるような縫い目の贈り物を畳むその手がささやくんだもん!運び込んだ砂は、小さな丘のお腹を真っ黒にする、のけぞったままはいつくばると紐のようにのびて、歩きつづけたこの脚をなくしてしまう。まだ踵もつま先もあるので。きみがその気ならと、声をかけるこの語を。あなたへの文句とする。でもときおりなにかをさがすように弧をえがいてただようものがあった、それが手のなかでさりさりと砂のことばのように語る。