苦笑い
やまうちあつし

誰かの
苦笑いになりたい

遠い遠い朝
名前も知らない街で

銀色の少女が
荷物を置く

馬の尻尾が
風に揺れる時

あるいは
グラスの氷が時間を数え
からり、と音を立てる時

長くて短い夢の
おわりのつづき

鬣をなびかせ
扉を出てゆく

(やれやれ)

そんな誰かの
苦笑いになりたい


自由詩 苦笑い Copyright やまうちあつし 2023-10-16 18:01:33
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