よどみ
soft_machine

 藻いろの川に夕日がくぐると
 透明がぼんやり
 浮かびあがり
 水は流れていたのだとわかる
 落しものや誰か
 生きてるもの生きてないものに
 黒い影が時おりゆらめく

 今はまだ気持ちを保っていられる
 崩れ色した枯れ葉いちまい
 鳥が咥えあきた小枝が流され
 いつか海は
 逆光に絡めた凧を風に閉じこめた
 散歩帰りの老婆が(それとも、少女)
 胸を枯らして今を唄う

 流れに漂う
 靴かたいっぽ
 鏡のようで油のよう
 息を切って掬い零れ
 水面はいつまでも溢れ
 何処かにあるらしい
 叶うはずもない、戻らない
 ただひとつの祈り

 届きたい、でも届かない
 いつまでもちいさなみどり
 身体に挿しこまれても思い出せる一部のまま
 映した月と黒に染まる
 あらゆる水が辿りつくよどみ





自由詩 よどみ Copyright soft_machine 2023-10-01 14:13:50
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