狼狽
あらい
鉛の十字のレプリカは積み上げ。擦り切れるまカレンダーに曳く。
居間、22時59分。夢見たよな箱庭で人生ごっこ。灰石と忽(ゆるが)せ、
凖しく廻る。点を老いては。何度でも書き足されている星星に、
きっと繋いでいく境界線がある。紅梅の帆と蓮の冠を模した、
滔々産湯に死んだ未来を憶え、斜光カーテンを巻き付けた躰に宿る。
おもいなおし、ありきたりのクジラは虹色メガネで粘度じみた翼状を欲しがる。
銃声も琴の音も囀りも、ワダツミのうたも、煩いぐらいに囁いていたのに。
折返し開いても理解らなかった。ありったけのピース、
ぶちまいて眺めている、ちいさな愛だ、の、ろくでもない頭でふるくさいゆめを、
未だに上書きされないビデオレターを重ね合わせた。
ささやかな耳鳴りはとうに途絶えていたから、
走り去るばかりの想に陳ばる単純な夢を見る己が風を起こして映射する。
噂にもならない沙漠の欠片、生きとし生けるものを殺した。
象嵌の瞳で結ぶことが、終の模の器に過ぎない、いばらの真綿の、
蠱毒の偽薬を詰め込む、平行線に堕胎した数だけ。
未来への途は膿出している肋の羽根がまた抜け堕ちて、誰かを救い出すように。
難く尖った小指の爪で怨土に弾いた、つたない、星の砂は詩に讃え
数々の極死期を口走る。えばった鰓から たまゆらが生え変わる時期に、
ちょっとだけ栓を拔いた。甘くかぐわしい啼鳥の臍帯は揺らしい何処かへと縺れ、
とおく油膜と真珠の泡沫に、傅(かしず)き離れたところへ、
泥濘と灯され、立ち止まり 途切れていたようにおもえた。この先、
宵は薄闇にただ黙って生温く術(すべ)っては、
どうせ躓きながら螺旋階段を転がり織りてやはり絡まり逢うばかりだ。