ちょうちょ
soft_machine
ふんわりあかるい 丘をもちあげ
かげにかくりと 谷をおる
ひらひら帰りみち
みどりのうらで こえをきく
蜘蛛のこわさや あしたの雨の
ひろがりについて
夕陽がおちる
これで 目がさめないかも
さめても 嵐はくるのかも
けれど夏がおわり
いくつか恋は叶えたし
蜜をくれる
花ももういない
あみを振る子どもたちは
学校だから
このまま
あとすこし
軽くなる
そうして 名前を持たない
ちょうちょという綺麗ないきものが
つぎの春も 本の頁から
誰かのノートの片すみに
舞っている
・
人にきこえない
はねのおと
人にみえない
かぜのいろ
いのちを染める
りんぷん