雨が用意されている
ちぇりこ。
雨が用意されている
雨は、いつも用意されていた
夏の終わりに
情けなく溶けだした
アスファルトの上に
生き延びた午後の渇きに
焼き場の長い煙突に
ひとすじの
細く白い煙に
(鉄の塊
(のような人でした
(いや、そのものでした
ところどころに
風穴の空いた
古い女郎蜘蛛の巣が
主の居ない揺れ方を
夏の終わりの風に晒す
鉄の焼けた跡に
ひ弱な灰の上に
干からびた種子を蒔くように
雨は、いつでも用意されていた
~2023年8月某日、義父の葬儀に寄せて~
自由詩
雨が用意されている
Copyright
ちぇりこ。
2023-09-06 21:50:29