雨曼陀羅華
這 いずる

寂しい鳥がススキに乗り垂れる
頭を捧げる一生涯の祈りが
こうして虚しさばかり産む
くちなわが巻きついて
孤独の印をつける
何にもなれないままだ
何にもならないまま
詞が死んでいくのを見る
震えているのが
寒さのせいなら良かった
まだ夏の香りがして
境界を守っているのが
私ばかりと思い上がり
石を投げる
田んぼに沈む
蛙が抗議する
聞き慣れない聞き慣れた音が
ささやく感情のあること
それが孤独だと言っている
つんざく私だけの耳をつんざいて
耳障りの良いこと
平気なのか
平気なのか
なんで平気なのか
天から雨のように華が降り
天上の美麗な音が鳴っている
天から華のように雨が降り
天上の荘厳な鼓笛が奏でられて
天から巻き上げられた花びらが舞い落ち
天の諸人が鼓をうち鳴らし
天が呼び、天が呼び、天を呼び
天が鳴り、体躯が散り、華がかかり
悪しもなく、善もない
一回言ったよね、て


自由詩 雨曼陀羅華 Copyright 這 いずる 2023-09-01 22:20:03
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