海に向かって歩いていた(新訂)
ひだかたけし

白く光る田舎の道を
カンカン鳴り響く踏切越え
海に向かって歩いていた

  *

漂う磯の香、白波打ち寄せ
空き缶一つ、浜辺に落ちて
独り私という魂が
水平線を覗き込む

 遥か船が落ちていき
 界と界の境域を
 彼方の無限へ落ちていき
 眩暈するよに落ちていき
 (その時、独り魂は
 純白の太陽に曝され
 熱狂的な叫びを上げ
 静かさ包む涙を流し)

彼方の無限いくものよ
戻り道を投げ捨てて
瞬間の永遠が開くもの
それを掲げ在らしめよ

  *

白く照り耀く田舎の道を
カンカン鳴り響く踏切越え
海に向かって歩いている

海に向かって歩いている






自由詩 海に向かって歩いていた(新訂) Copyright ひだかたけし 2023-08-30 15:54:27
notebook Home