正座のたかし
たもつ
たかし、遠方から、そして正座
つまり座る
たかしは姿よし
声量よし、の、よし子さん
折角なのでよし子さんについて
(暫しの回想
(これまで三回よし子さんに会ったことがある
(三回とも違うよし子さんだった
(会ったよし子さんはみんな
(よし子さんを名乗った
(回想は終わり
(たかしは正座
たかしは産まれてから
何度目のたかしなのだろう
正座をしたまま
次のたかしのための準備をしている
たかし、昨日は寂しかったね
光にも風にも水にもなれなかったね
明日は寂しくないたかしだといいね
たかし、足を崩して
もっと崩して
でもたかし、脆いから
崩し過ぎて
溶けてしまう
(初出 R5.8.17 日本WEB詩人会)