正座のたかし
たもつ



たかし、遠方から、そして正座
つまり座る
たかしは姿よし
声量よし、の、よし子さん
折角なのでよし子さんについて
(暫しの回想
(これまで三回よし子さんに会ったことがある
(三回とも違うよし子さんだった
(会ったよし子さんはみんな
(よし子さんを名乗った
(回想は終わり
(たかしは正座
たかしは産まれてから
何度目のたかしなのだろう
正座をしたまま
次のたかしのための準備をしている
たかし、昨日は寂しかったね
光にも風にも水にもなれなかったね
明日は寂しくないたかしだといいね
たかし、足を崩して
もっと崩して
でもたかし、脆いから
崩し過ぎて
溶けてしまう





(初出 R5.8.17 日本WEB詩人会)


自由詩 正座のたかし Copyright たもつ 2023-08-18 07:01:53
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